暁に聴く君の唄


―――いち…

誰かの声がする…

―――新一…

酷く柔らかく優しい声…

――新一…新一…

ああ…この声は誰よりも愛しい人の声だ…


「新一!」
自分を呼ぶ声にハッと目を開けると、蘭が心配そうにオレの顔を覗き込んでいた。
「………蘭…?」
「魘されてたよ、新一…大丈夫…?」
辺りはまだ暗い。
「何時だ…?」
「まだ四時半だよ。」
蘭の柔らかい声が心地好く耳に響く。
眠りにつく前にオレの手で全て脱がしてしまったから、蘭は素肌にシャツを一枚羽織っただけの姿だった。


カーテンの隙間から差し込む月明かりに白いシャツが反射して、非現実的。
夢のように綺麗な存在。

昨夜…「もう帰らないと…」と言う蘭を無理矢理引き止めて自分の家に泊まらせた。
この腕の中に閉じ込めて離さなかった。
蘭はそんな我が儘としか言えないオレを許してくれる。

「…嫌な夢でも見た?」
蘭は綺麗に微笑んでオレにそう言った。
別にその答えを聞きたい訳ではないのだろう。
まるで怖い夢に怯える小さな子供を慰めるかのような優しい声。
そっと蘭の綺麗な織手がオレの額を拭った。

「凄い汗…風邪ひいちゃうね…」
蘭の声は酷く耳に優しい。
聞いているだけでまた夢の中に引き込まれていきそうになる。

蘭の全てが優しい。

オレは知らずの内に蘭の素足の膝に顔を埋めていた。
「…し…新一…?」
少なからず蘭の声が驚いている。
暫くそのままでいた蘭は、身じろぎ一つしないオレに諦めたのか、細い指でオレの髪を梳き始めた。

すげー気持ちいい…

どれ位の時間が流れただろうか…
真っ暗だった窓の外がホンの少しだけ白み始めてきた。

「何も訊かないのか…?」
オレの小さな問い掛けに、蘭は穏やかな笑みを浮かべた。
「うん…何かあったのかなっていうのは判るよ…でも新一が何も言わないなら訊かない…言いたくなったら言えば良いよ…?」

「蘭……!」

優しい声にオレは蘭の細く壊れそうな身体を強く抱き締めた。



今日、大学の講義が終わった後、目暮警部からオレの携帯に連絡が入り、オレは殺人事件の現場へと急いだ。

『高校生探偵』として世間に騒がれていたオレも、今は大学生。
幼馴染で恋人の蘭と同じ大学に進み、蘭と一緒のキャンパスライフを楽しむ傍らで、やはり『学生探偵』として相変わらず事件とあらば現場に駆け付け、推理を披露する日々を送っていた。



でも…今日の事件は…



愛する者同士のすれ違いが悲劇を呼び、恋人が恋人を殺める愚かしくも悲しい結末。
誰よりも愛していた女を自らの手で殺めてしまった悲しい男…

以前のオレなら殺人は殺人、どんな理由があろうと許される事ではないと、きっぱりと真実を告げていた筈だ。
巧妙に仕組まれたトリックを暴き、真実を見つけ出すのがオレの仕事。オレの役目。
何の躊躇いも要らない筈だ。

それが今はどうだろう?
今回は真実を見つけ出した後も、それを告げる事がなかなかできずにいた。



……この男にオレがならないと誰が言い切れる?

悲しい誤解から最愛の女を自らの手で殺めてしまった、この哀れで愚かな殺人者に…


蘭を愛している…
誰よりも何よりも大事なオレの…オレだけの、この世に二つとない美しい宝石。

いつか、蘭がオレの傍を離れていく日が来るとしたら、オレはこの男と同じ事をするかも知れない。



真実を告げる口は重く開いた。
嗚咽が漏れそうだった。
弱音を吐きそうになった。

誰にも…蘭にすら聞かせた事のない弱音を。



やっとの思いで真実を警部達に伝えた。
事件が解決した後、オレの様子がおかしいと思ったらしい高木刑事が、「顔色が優れない」と言って車で家まで送ってくれた。
その車内、会話は殆どない。
高木刑事はオレの体調が悪いのだろうと、多くは話しかけてこなかったが、反ってそれが救いだった。

恋人を殺めてしまった殺人者の悲しい嘆きの声は耳の奥に響き、いつまで経っても残っていた…



重い気持ちを引き摺ったまま帰宅したオレを玄関先で迎えたのは、蘭の笑顔だった。
いつでも自由に出入り出来るようにと、蘭にはこの家の合鍵を渡してある。
今日も「夕飯作ってあげるね!」とオレより先にこの家に帰宅していた。

「おかえり、新一!ごめんねー、ご飯の支度まだなんだ。何か食べたいものある?」
蘭が明るく穏やかな笑顔でオレを迎えてくれた。
「……」
「…新一…?」
そんな蘭の笑顔を見ていたら…


蘭が無性に欲しくなった。


その場で蘭を抱き締めて唇を奪う。
「…ん…ッ!」
ただ縋るように…貪るように蘭を求める。
「…ん…っ、ふぅ…やっ、し…ぃち…ここ玄関…っ」
息を継ぐ為に離した蘭の唇が抗議の言葉を告げ、オレの身体を両手で押し遣る。
それを許すまいとオレはその手を封じ、更に強く蘭の身体を抱き締め、深く深く口付けた。
蘭の口中を舌で探り、見つけた舌を自分の舌に絡ませる。

最初は驚いて抵抗していた蘭も、オレの行為を次第に受け入れ始めた。
「蘭…っ、蘭…!」

服の上から蘭の柔らかな胸に唇を這わせると、応えるように蘭の腕がオレの背中を優しく抱き締める。
「新一…?何を怯えてるの…?わたしはここにいるよ…?」
柔らかな声に埋めていた蘭の胸から顔を上げると、綺麗な瞳と視線がぶつかった。

「何も心配いらないよ…ホラ、ここにいるからね…?」
柔らかく微笑みながらそう告げる、優しい響きの音色。

どうしようもなく愛しい。

いつもならこんな突然の誘いに応じたりはしない蘭。
オレの様子がいつもと違う事に気づいているんだろう。
それでも何も訊かず、オレの行為を許して受け入れてくれる。

ただ蘭の温もりが欲しかった…
冷え切った心を蘭の身体で暖めて欲しかった。
快楽に溺れる蘭のあの艶かしい声で、耳に残る殺人者の嘆きを消し去りたかった。


その場で蘭の身体を壁に押し付け、蘭のシャツの胸元の釦を半ば乱暴に外していく。
「蘭…蘭…!」
首筋や胸元にキスを繰り返しながら、縋るように蘭の名前を連呼する。
「新一…大好き…だからね?」
オレの首に蘭の細くしなやかな腕が絡みつく。
オレは夢中で白い肌に口づけ、花びらのような紅い痕跡を散らす。
服の上から胸を唇で愛撫し、スカートを少し乱暴にたくし上げると、オレはその中にそっと手を差し入れた。
「…ん……」
柔らかい太腿はしっとりとオレの掌に吸い付くように馴染む。
「んん…新一…っ」
下着の上から蘭の秘所に指を触れると、ソコがクチュッと湿った音を立てた。

「すげーな…もう…こんな濡れてんだ…?」

欲情と羞恥に潤んだ瞳を覗き込み、からかうように言うと蘭は綺麗に整った眉を軽く寄せてオレを睨んだ。

「甘えん坊の名探偵さんの所為よ…?」
甘く薫る熱い吐息と共に吐き出される溜息交じりの台詞。

不思議なくらいに蘭の声はオレに安心感を与えてくれる。

下着の上から丹念に指を這わせながら、唇で服の上からでもハッキリと変化の判る柔らかい胸の丘の中心を探っていく。
「あ…ん…新一…」
「何?服の上からじゃじれったい…?」
「そんなんじゃ…」
言いかけた蘭の胸の頂きで固く隆起したその部位を布越しに軽く噛む。
「あんっ!」
ビクンッと身体を震わせて反応を見せた蘭の唇を唇で捉え、深くキスをする。
「ん…ふぅ…」
漏れ出た吐息さえ逃がし難く、更に深く唇を重ね、震える舌を自分の舌に絡めた。
そうしながら指先に捉えた熱く濡れた箇所を、布の上から容赦なく攻め立てる。

「ん…っ、んん…っ!」
ビクビクと反応を示しながらオレにしがみ付く蘭が堪らなく可愛い。

「蘭…すげぇ可愛い…すっげー色っぺぇ…」

本心からの言葉だったが、蘭はそれを揶揄と捉えたのか、イヤイヤをするように身体を捩った。
「ばかぁ…」

いよいよオレは蘭の服を脱がしにかかった。

中途半端に外してあったシャツの釦を完全に外し、現れた白い胸元にチュッと音を立てて口づける。
秘所を弄っていた指をソコから離すと、じれったさからか蘭は足を摩りあげた。
「焦んなよ…今、もっとヨクしてやっからさ…?」
わざと意地悪く言うと、蘭が潤んだ瞳でオレを睨んだ。
「馬鹿…そんなんじゃ…ないもん…」
その可愛さに思わず小さな笑いが漏れる。
「何…笑ってンのよ…?」
そう言った蘭はふざけてか照れ隠しか、オレの頬を軽く抓った。
「ふぁーろ…いへぇよ…」
「新一が悪いんだからね。」
「何だよ…オレが欲しくて堪んねークセに…」
蘭に抓られていた頬を解放されたオレが、蘭のブラの上から口づけながら言うと、蘭は更に言葉を綴ろうとする。
「…お互い様…でしょ…?…ん…あん…っ!」
蘭の台詞を愛撫で止める。

…そうだ…
欲しくて堪らないのはオレの方…
蘭がオレを欲しがる、その何百倍も何千倍もオレは蘭を欲している。

完全に前を肌蹴たシャツの下に右手を差し込み、左手で蘭の身体を抱き締めたままブラのホックを外した。
蘭の豊満な乳房がまろび出る。
敏感な部分が直接外気に触れ、蘭がフルッと身震いした。
ホックが外れて緩くなったブラをグッと押し上げ、白く豊かな胸に顔を埋める。

「…スゲェ好い匂い…」
何か特別な香りをつけているワケではないのだろうが、蘭の肌は甘く薫る。
媚薬でも仕込んでいるかの如く、オレの官能を刺激する薫。

チュ、チュ、と白い丘に口づけながら、オレの唇はその頂点を目指していく。
「ん…」
オレの愛撫に合わせて蘭の唇から甘い吐息が漏れ出る。
掌で豊かな胸を包み込み、軽く揉みしだきながら、その頂上で紅く色づく花の蕾のような乳首に唇で触れた。
「あん…っ!」
「すっげーコリコリ…」
わざと卑猥な言葉を口に出すと、蘭は真っ赤になって可愛い顔でオレを睨む。
「そんな事言っちゃ…や…」
蘭の抗議の言葉はそのまま聞き流し、濡れた舌でピチャッとその蕾に触れた。
「あ!」
蘭の身体がゾクッと震える。
その反応が堪らなく可愛くて、オレはその蕾を丹念に舐め回した。
「…あ…ああ…んん…あふ…っ」
紅く色づいた蕾を舌で転がしたり、甘噛みしたりする度に蘭の唇は甘い鳴き声を漏らす。

白い丘にも唇を舌を這わせ、時折軽く歯を立て、紅い痕を散らしていく。
「いた…っ、新一…噛んじゃやぁ…」
ら蘭の甘い声はオレの欲望を凶悪にさせた。
胸を丹念に愛撫していた唇を下へ下へと降ろしていき、白い肌に軽く吸い付き、時には歯を立て、蘭の声を愉しんだ。

立ったままというより、既に壁に凭れているだけの状態の蘭の足許に跪いて、白い柔肉に吸い付く。
臍に舌を捻じ込むと蘭は恥ずかしがってか身体を捩る。
「しんいちぃ…」
スカートの下に手を差し入れて、蘭の秘所をガードしている布を引き摺り下ろし、足の間に指を這わせるとそこは熱い蜜を滴らせていた。

「ひゃ…!」

ソコに触れた途端、蘭がビクンと身体を震わせる。
オレは蘭の足許に跪いたまま、片手でその腰を抱え、丹念に指で愛撫する。


指先に絡まる蘭の欲情の証。
蘭が感じている証拠。

どうしようもなく愛おしい女。

オレだけに見せてくれる淫らな姿。


「あ…あん…んふ…っ…」
オレの指が動く度に、蘭の唇から可愛い嬌声が上がる。
「蘭…気持ち好いのか…?」
「…し…いちぃ…」
グッと指を突き入れると、蘭が一層高い声で鳴いた。
「ああっ!あ、あ、…やぁ…っ!」

蘭の肉壁がもっとと強請るようにオレの指に絡みついてくる。
指だけでもこんなにも気持ち好い。

蘭の中は柔らかく、優しくオレの指を包み込んでくれる。

この後に、オレ自身を挿れる事を考えると、それだけで身震いする。

指先を軽く抽挿させながら、親指で敏感な肉芽を愛撫した。
いや!いやぁ!しん…っち!そんなにしちゃ…!」
グチャグチャとわざと音を立てて指を抜き差しすると、遂に蘭の目から涙が溢れた。

「…泣くなよ…」
オレは蘭の中に差し込んだ指をそっと引き抜き、指に絡む蜜を舐め取りながら立ち上がると、蘭の瞳から溢れる大粒の涙を唇で拭った。
蘭は睫の濡れた目で上目遣いにオレを見る。
引き寄せられるように、オレはその瞼と瞳に何度もキスを繰り返した。

そのまま再度跪き、蘭のスラッとした長く細い脚を肩に掛けた。
「や…新一…っ?」
蘭が抗議しようとするのをオレは蘭の秘所にフッと息を吹き掛けて止める。

「あ!」

指先でソコを開かせ、軽く舌を当てた。
「ひゃぁっ!」
蘭の身体がビクンッと大きく反応を示す。
逃げようとする蘭の腰に腕を回してしっかりと捉え、更に深く舌を入れ込む。
「しんいちぃ…あ…あぁ…っ」
立たせたまま愛撫を受け入れる蘭のソコから溢れ出た熱い蜜が滴ってきて、オレの喉を潤してくれる。

紅く充血した肉芽はぷっくりと膨らんでヒクヒクと息づき、更なる刺激を欲していた。

蘭の身体がオレの愛撫を悦んでくれている…
それが堪らなく嬉しい。
蘭が感じているのを更に確かめるように、その敏感な肉芽を舌先で弄り続ける。
蘭のソコからは止めどもなく熱い蜜が溢れ出していた。

「あん…あ…あふ…っ、しん…っちぃ…」
蘭はオレの頭を抱え込んで必死に快感を耐えているようだった。

「蘭…?気持ち好いか…?」

オレの問いに蘭が潤んだ瞳でオレを見た。

「…………」

オレと目が合うと、蘭は恥ずかしそうに視線を逸らして小さくコクンと頷いた。

「…新一は…?」

蘭の言葉の意味を理解しかねる。

「新一は…ちゃんと感じてる…?」
震える声で蘭が問う。
「わたしばかりじゃ…や…。ちゃんと新一も…感じて…?」

我を忘れるくらいに乱れても、蘭はオレの事を気遣ってくれている…

「心配すんなよ…オメーが気持ちイイって思ってくれりゃそれで満足なんだからさ…」

そう言って蘭の其処を啜り上げた。
「きゃ…っ!」
突然の強い刺激に蘭が小さく悲鳴を上げる。

「あ、あふ…っ…ち、違うの…っそれだけじゃダメ…ッ、ん…っ新一が気持ち好くなくちゃダメ…なの…!」
オレの施す愛撫に、息も絶え絶えになりながら、蘭はそう言った。
「愛してくれるだけじゃ…イヤ…わたしも…新一を愛したいの…」

オレの愛撫を受け入れながら、羞恥の所為か欲望の所為か…蘭は顔を紅潮させて、潤んだ瞳で囁くようにオレに告げた。

「…んじゃ…何してくれるんだ…?蘭がオレを感じさせてくれるワケ?」

蘭は涙目でオレを見ると、今度は視線を逸らさずに小さく頷いた。

……マジかよ……?

オレは蘭の愛液に塗れた口元を手の甲で拭いながら立ち上がる。
手に付着したその蜜を一滴残らず舌で舐め取ると、そのまま蘭に深く口づけた。

「…ん…っ!」
蘭の方からぎこちなくではあるが、舌を絡ませてくる。
蘭はキスを激しくしながらオレの背広を肌蹴させていき、オレが着ているシャツの釦を綺麗な指で外していく。

オレは蘭の手を掴むと、自分の胸に押し付けた。
蘭は慣れない手つきでオレの素肌を弄る。
蘭の手の動きに合わせてキスを激しくすると、蘭もそれに応えるかのように深く舌を絡ませる。

次第に蘭の唇はオレの唇を離れ、首筋、胸元へと降りていく。
乳首を蘭にチュッと吸われて、オレの身体は思わず小さく弾んだ。

「しんいち…感じてるの…?」
「ああ…すげー気持ちイイぜ…?」

チュ、チュ、と軽く音を立てながら蘭のキスが下腹部に降りていく。
慣れない仕草で必死に愛してくれるのが堪らなく愛おしい。
オレの足許に膝をついた蘭は、震える指先でオレのズボンのファスナーをゆっくりと引き降ろした。

「…蘭…、無理しなくていいんだぜ…?」
オレが蘭の髪に指を絡ませて言うと、蘭は潤んだ瞳でゆっくりとオレを見上げ、小さく首を振った。
「…無理なんか…してない…新一に感じて欲しいの…新一を…愛したいの…」
そう言うと蘭はオレの下着の袷を開いて、熱くなったオレの肉棒を取り出した。

「…ふ…っ」

蘭の綺麗な指先に捉えられ、思わず声が漏れ出そうになる。
その硬さを確かめるように、蘭の指先がオレの熱い塊を丁寧に弄る。
時々上目遣いでオレの表情を確認しながら、オレが感じる部位を探り出していく。
オレが反応を示す場所を殊更丹念に愛撫してくれる。

…コイツ…天使かと思ったらイタズラ好きな小悪魔みてぇだ…

蘭はそれに手を添えると、舌でその先端を舐め上げた。
「くぅ…っ」
あまりの快感に、不覚にも声が出てしまう。
オレの声を聞いた蘭は、嬉しそうに微笑んだ。

「…新一…気持ちイイの…?」
「すげ…半端じゃねーぜ…?」

蘭の問い掛けに吐息交じりで答えると、その答えに満足したのか蘭は更に舌を使ってオレの肉棒を愛してくれる。
はじめは舌先でチロチロと舐めていただけだった蘭の愛撫は、次第にねっとりと絡みつくものに変化していった。

「…蘭…」

乱れる吐息で名前を呼び、蘭の顎に指を添えてオレを見上げさせると、蘭は泣きそうな顔をしていた。
その表情に、オレは小さく笑うと蘭の髪をそっと撫でる。
「だから…無理すんなって…」
それでも蘭はフルフルと首を振って、「違うの…」と答えた。
「こ…こんな事初めてだから…ちょっと怖いけど、無理なんてしてないよ…?それ以上に…新一が感じてくれるのが嬉しい…から…」

オレは…自分で考えていたよりも、遥かに蘭に愛されている…

「…口に…入れられるか…?」

蘭は少しの躊躇の後、コクンと小さく頷き、大きく口を開いてそれを口の中に招き入れた。
「く…っ!」

やべぇ…声、我慢できねぇ…
すげー…気持ちイイ…!

腰の辺りからザワザワとした感覚が全身に広がっていく。

「…ふ…ぅ…んん…んく…っ」
蘭も息苦しそうな声を漏らしていた。

そうまでして、お前はオレを愛してくれるのか…?

「蘭…蘭…!」
オレは無意識の内に蘭の髪を撫でながら、必死にその名前を呼んでいた。
「…ん…ひん…ぃちぃ…」
オレのそれを口に含んだまま、蘭もオレの名前を呼んでくれる。
蘭に愛撫されたそれは、蘭の可愛い口には大きすぎる程に成長していた。
それでも蘭は懸命に愛撫を施す。

玄関のホールに、蘭がオレのそれをしゃぶる卑猥な音と、蘭とオレの熱い吐息が響いている。

「…ら…っ、蘭…やべぇよ…もう…出ちまう…」

オレは限界を感じて、手に絡めた髪ごと蘭の頭をグッと押し遣ったが、蘭はそれに抵抗して更に激しくオレの肉棒にしゃぶりついてきた。
「…ら…っん…!マジでやべぇって…!…は…離せ…っ」
「いいよ…このまま…イッて…?」

そう言うと、蘭は先端からチュウッと大きく吸い上げ、オレのそれに軽く歯を当てた。

「…ふ…うぅ…はぁ…っ!」
「きゃ…っ」

刹那。
視界が白く染まり、言いようのない快感の波に呑まれる。


バクバクする心臓を呼吸を整える事で落ち着かせようと、大きく息をしながら目を開けると、蘭が噎せてケホケホと咳き込んでいた。

…やべぇ…口ン中出しちまった…

「蘭…ワリィ…大丈夫か…?」
噎せ返る蘭の背中を摩ってやると、蘭は口から溢れ出たものを手で拭いながら、泣きそうな顔で微笑んだ。

「新一…感じてくれたの…?」
「…すっげ好かった…ありがとな…」
そこまでしてオレを愛してくれる蘭がどうしようもなく愛おしくて、嬉しくて、その身体をギュッと抱き締める。

「だって…わたしにはコレくらいの事しかできないから…」

玄関のホールに二人して座り込んだまま、お互い抱き締め合った。

蘭の口の中に熱い精を放ち力を失ったそれは、蘭の体温を感じているだけで少しずつ力を取り戻していく。

オレは蘭の中に入りたくて、蘭の手を掴み、蘭の中に入るにはまだ少し力の足りないそれを蘭に握らせた。
蘭は戸惑いながらもそれに指を絡めて愛撫を与えてくれる。

蘭が与えてくれる快感に、やがて先ほど同じくらいまで力を取り戻した天を向くそれから蘭の指を離させると、オレは蘭の綺麗な瞳を覗き込んで訊く。

「蘭…いい…?」
短い問いに蘭はオレを見上げて恥ずかしそうにコクンと小さく頷いた。
座ったまま蘭の身体を壁に押し付け、大きく脚を開かせる。
蘭に与えられた愛撫により、熱く勃ち上がった肉の楔を蘭の中心に宛がった。

「…新一…」

蘭の甘い誘いに応じるように、オレは蘭の中心から溢れ出す蜜を楔に絡ませながら、その奥へと進む。
蘭の秘められた場所がオレの肉の塊をズブズブと呑み込んでいく。
「ああ…っ!」
蘭が声をあげてオレにしがみついた。
「蘭…蘭…!」
オレは蘭の名前を呼びながら、ゆっくりと最奥まで進んでいく。
「新一…しんいちぃ…!」

身体を重ねるようになって一年と少し。
数え切れないほど蘭を抱いた。
それでも蘭はこの瞬間は慣れないらしく、全身に力を入れてしまっていて、オレをきつく締め付けてくる。

「蘭…っ、力抜けよ…っ」
「ん…んん…」
なかなか思い通りにはいかないらしく、蘭は苦労して力を抜こうとする。
オレは動きを止めて蘭に口づけた。
「ンふ・・・っ」
深く探るキスに、蘭の身体から次第に力が抜けていくのを感じ、オレは蘭をグッと突き上げた。

「あンッ!!」
蘭が甘く鳴いて大きく仰け反る。
「ホラ…奥まで届いてんの…判るか…?」
蘭はオレの問いにコクコクと頷いて答えた。

舌と歯で蘭の耳を探りながら軽く腰を揺する。
「ひゃ…っ」
「…気持ちイイ…?」
「んっ!しんいちぃ…っ、きもちイイよぉ…!」

蘭が夢中になってオレにしがみ付き、オレの腰に蘭の綺麗な脚が絡みついてくる。
「動くぞ…?」
蘭が頷くもの確認せず、オレは蘭の最奥を自分の楔で探るように動き出した。
先端に蘭の一番奥の柔らかい壁が当たっているのを感じる。
「あ…あぁ…っ!あん、あんっ!」
激しくなる動きに合わせて、蘭の鳴き声も高くなっていった。

「蘭…好きだ…!誰にも渡さねー…!」
「ん…しんいちぃ…っ、わたしも…大好き…!」
快感に耐えるかのように、蘭がオレの背中に強く爪を立てた。
その痛みさえ心地好く感じる。
「蘭…!蘭!」
オレは更に激しく蘭の中心を突き上げていく。
「ふぁ…や…イヤ…!新一…っ、も…、ダメ…!」

蘭の限界を告げる言葉を聞いて、オレは仕上げに掛かった。
大きく開かせた蘭の脚を更に広げさせ、自分の腰を激しく打ちつける。
「いや…っ!いやぁ!し…ぃちぃ…!」
「蘭…蘭…!イッちまえよ…!」
「…んん…っ!!……ッちゃう…っ!!」
蘭の身体がビクビクと大きく震えた。
「ああ…っ!あ!あ!あああ…っ!!……んんっ…!!」

綺麗に身体を反らせた蘭は快楽の頂点に昇りつめ、二人を繋ぐオレの楔をギュッと抱き締めた。
「ら…ん…っ!!」
それに耐え切れず、オレも蘭の奥に白濁した迸りを放った。



玄関でしてしまってから、二人で風呂に入り、ここでもしてしまったわけだが、食事をした後もベッドまで蘭を引っ張り込んで飽く事なく蘭を求め続けた。

片時も蘭を離しはせず、これで蘭に甘えているのが彼女にバレない筈がない。




白み始めた空は、次第に闇を失っていく。

「新一…?寝ちゃった…?」
蘭の膝枕でウトウトと昨夜の事を思い出していたら、蘭に呼ばれた。
「いや…起きてる…」
昨夜…珍しい位に蘭は積極的だった。
オレの様子がいつもと違った事がその原因だとは思うが。

「なぁ…蘭…」
「なーに?」
オレの囁くような問い掛けに、蘭は柔らかい声で答える。
「夕べ、オメー言ったじゃん?『わたしにはコレ位の事しかできないから』って…あれ、間違ってるぜ?」
「な…何?いきなり…」
蘭はオレにそう言われて昨夜の事を思い出したらしく、真っ赤になった。

「居てくれるだけでいい…オメーさえ居てくれれば、オレはそれでいいんだ…いつまでもオレの隣にいてくれねーか…?」
オレは蘭を見上げてそう告げた。
蘭は、大きな目を更に大きく開き、瞳をクルクルとさせてオレを見た。

「新一…」
「だからさ…蘭…、一緒に暮らそう…?」
それはずっとずっと望んできた事。

「…ズルイよ…新一。こんな新一にそんな事言われたら『イヤ』って言いにくいじゃない…?」
蘭は悪戯っぽく笑って言った。
オレは蘭の膝から顔を上げて蘭を見る。
「…おい…『イヤ』って言う気かよ?」
「そうじゃないけどね。」
蘭はクスクスと小さく笑った。
「…あのね、新一が甘えたい時にはいくらだって甘えさせてあげる。でも甘やかしてはあげないよ?」
「どう違うんだよ?同じじゃねぇか。」
「違うの。」
蘭はきっぱりとそう言った。
「わたしに甘える事で新一が元気になるならどんどん甘えちゃって?それでいつもの自信たっぷりな『名探偵工藤新一』を取り戻して。そしたらさっきの台詞、もう一回聞かせてよ。」

今度はオレが目を丸くする番だ。

「わたしにだけ弱音を聞かせてくれるのは、凄く嬉しいの。でも、その先にはいつもの新一がいるんでしょ?弱音を吐いて、わたしに甘えて、そしたら元気になるんでしょ?」

…敵わねーな、コイツには…

「わたしはいつでも新一の傍にいるからね…?」

…オレは何に怯えていたのだろう…?
蘭は此処にいるじゃないか。
オレの隣に。
…そう、物心ついた頃からずっと傍に居た。
オレが偽りの姿になっても、一緒にいてくれた。
それが蘭に知られた時にだって、蘭を騙していたオレを蘭は許してくれた。
蘭がオレから離れる日が来るなんて有り得ない。
蘭さえいてくれれば、何も怖い事なんてない。

どこまで馬鹿なんだよ、オレは…?

「蘭…ぜってぇ、一生離さねぇ。」
オレは起き上がって蘭を強く抱き締めた。
蘭は微笑んで頷く。

「判ってるよ…?わたしだって新一の事、一生ずっとずっと離さないんだから…」


蘭の声が心地好く耳に響く。



まるで子守唄のように………




おはなし部屋に戻る。





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